デザイナーを目指す学生必読!業界の現状と働く時の考え方

頭を抱える男性

グラフィックデザイナー歴17年、現在は個人事業主として活動しているHide-cです。

紆余曲折があって現在に至るのですが、私のこれまでの経験と業界の現状を書くことでグラフィックデザイナーを目指している学生の方の今後の参考にしていただければと思います。

独学でも就職することは可能

私は、小さい頃から建築士になることを夢見て、高校、短大と建築を専攻してきました。

ところが、バブル崩壊の影響で建築業界は厳しくなり就職難に。

そこで目をつけたのがグラフィックデザイン業界。その頃は私も若かったので、「オシャレなポスターとか作りたい!」という安易な考えで飛び込んだのが最後。

そこから間もなくして大変な業界に入ったことに気付くのです。

短大を卒業するまで建築設計ばかりやっていたので、もちろんグラフィックデザインに関しては無知。

専門学校に行ってゼロから学ぶことも考えましたが、就職難で焦っていた自分は独学で勉強することにしました。

偶然にもアルバイト先がMacを使っている会社だったので、参考書を書ってMacやソフトの使い方を覚えながらポートフォリオをつくり、就職活動を再開。

そして念願の業界に入ることになったのです。

最初の難所は入社するところから

今考えれば恥ずかしくて見せられない作品でしたが、ハローワークや求人誌を見て、なんでも良いからデザインができる会社に履歴書を送り続け、奇跡的にも就職することが出来ました。

そうなんです。ポイントは「なんでも良いからデザインができる」ところ。

実は私が最初に入社した会社は、デザイン会社ではなく企業の看板や案内看板等をつくるサイン製作会社。

とにかく実務経験を積んでデザイナーにならないことには始まらないと思っていたので、ジャンルにこだわりはありませんでした。

こんな実務経験のない自分を採用してくれたのは、運が良かったとしかいいようがありません。

その後何社か渡り歩き、ある広告代理店で人事担当をすることになった私の経験から言うと「実務経験がない人は採らない」んです。

デザイナーは、日々スケジュールとクライアントとの戦いで、実務経験のない人に教えているほど時間に余裕がありません。

グラフィックデザイナーと言えば、広告代理店や制作プロダクションと思いがちですが、そこに入社するのは非常に難しいです。

就職活動をされている学生の皆さんは、広告代理店や制作プロダクションに入ることは将来的な目標として、とりあえずどんな小さなジャンルでも良いのでデザインをやらせてもらえる会社に応募することをおすすめします。

最初の難所は、入社すること。

例えそこがブラック企業だとしても、学べることは必ずあります。

デザインの現場は超過酷

看板製作会社、印刷会社、広告代理店等、様々な会社を渡り歩いてきた私ですが、ここは良かったなと思える会社はひとつもありませんでした。

ブラック企業というのは人それぞれ解釈の仕方が違うと思いますが、私が在籍した会社はすべてブラックだったと思います。

印刷会社ではスーパーの広告を作っていたため、日付が変わるのが当たり前。

翌日は通常通り8:30出社で遅刻したら減給。

そのまま会社に泊まることもよくありました。

残業代はついたのでそこそこ収入はありましたが、何せ基本給が安い。(ボーナスは基本給×何ヶ月分なので基本給を低くすることで人件費を抑えていることに後ほど気づきました)

社内デザイナーがいる広告代理店には何社か在籍してたのですが、ここでも当たり前のように日付が変わるまで仕事をしてました。

印刷会社に比べれば、広告代理店のほうが面白い仕事はあったのですが、そんな仕事は年に数回あるくらい。基本、レギュラー案件のあまり考えずに数をこなす、ただつくるだけの仕事ばかりでした。

その辺は、営業マンの営業次第でもあるのですが、なにせ零細企業の広告代理店の営業マンは全然ダメです。

まず自分の売上のことしか考えてない。

そもそも打合せ→デザイン→校正→修正→校正→印刷→納品というモノをつくるための基本スケジュールなんて営業にはないんですよね。

RGBやCMYKすらもわからない。

そんなデザインや印刷の基本すらもわからない人間が、デザイナー抜きでクライアントと打合せに行くわけなので、テーマすらわからない原稿がくることも多く、そのまま進めざるを得ない状況では大きい修正がくることが当たり前になっていました。

なぜ、こんなことが起きるのか。

それは、「売上至上主義」という経営者の問題です。

とにかく売れというスタンスは、営業に過度なプレッシャーを与えます。

毎月の売上目標を設定され、それを達成しなければ営業会議で叩かれる。

それが続くと減給になるんです。

逆を言えば目標を大きく達成すれば、昇給にも繋がります。

こんな企業体質で経営していれば、営業も売上を上げることだけに執着せざるを得ません。

デザインのことはデザイナーになんとか無理言って作ってもらえばいい、印刷も無理言ってギリギリのスケジュールでやってもらおう、というスタンスになってしまうわけです。

そんな環境では、デザイナーもモチベーションが上がるわけがありません。

デザイナーと営業の関係は悪くなり、事実私が会社員だった時代は、周りのスタッフ達はみな不平不満ばかり。

いかに自分の仕事だけを早く終わらせて帰ろうかという考え方をもつ人間ばかりになっていました。

これを改善するには根本的な部分、つまり経営者の問題なので諦めざるを得ませんが、零細企業の広告代理店にこのような「売上至上主義」という考え方も持った経営者が多いのが実情です。

広告代理店は時代に合わない

広告代理店は、基本的に新聞やTV・ラジオ、ネット媒体等の広告枠を売ることで発生するマージンで経営しています。

印刷があれば、仕入に乗せて売ります。

ただ、現在の業界は変わつつあります。

皆さんは、自分のほしいものがいろんなとこで売っているとしたら出来るだけ安く買いたいですよね?

クライアントも、印刷物があれば印刷会社に、デザインを頼みたい場合はデザイナーに、TVやラジオがやりたければ局に直接依頼することで、レスポンスも早く、余計なマージンが発生しないためコスト削減が可能になります。

こういった、広告代理店を通さず直接依頼する企業が増えていき、広告代理店は厳しい立場に置かれています。

これはつまり、「広告代理店に依頼するメリットってあるの?」という人が増えていった結果です。私も現場で働きながらそう思っていました。

広告代理店にぶら下がっていた印刷会社は、代理店から金額を叩かれて数をこなすことで経営を保ってきましたが、前述の理由による代理店の不況、ネット印刷の普及により、倒産する印刷会社が増えていきました。

今生き残っている印刷会社は、代理店を飛び越えて自ら営業するようになっています。

昔では考えられませんが、代理店と相見積りになる現象が起きていて、そうなれば印刷会社が勝つに決まってます。

しかも、私の知る印刷会社では印刷の枠に留まらず、外注する前提でWeb制作や映像制作等を請けている会社もあり、自社サービスを切り口に間口を広げていっています。

つまり自社の武器は何なのかということを俯瞰で見ることによって、辿り着いた経営スタイルなんです。

これでは印刷会社も広告代理店と変わらないのでは?と思うかもしれませんが、印刷会社には印刷というサービスがあります。

広告代理店には何もありません。

モノをつくる流れはあるけど、モノを生み出す機械がない。これは八百屋と農家くらい大きな違いです。

何事も俯瞰で見るということは、企業だけでなく自身にとっても大事なことです。

自分を俯瞰で見ることで目標を設定できる

入社1年目はデザイン・印刷の知識だけでなく、WEBの知識も必要になり、覚えなければいけないことがたくさんあります。

徐々に会社の全体像が見えてきて業界の現実を知るようになると、不平不満が出てきます。残業も当たり前のようにあるため、心も身体も疲弊していく毎日になります。

ただ、こんな時だからこそ自分を冷静に見るようにしましょう。

例えば、Illustrator、Photoshop等のアプリケーションをどこまで使いこなせているか、自分のデザインレベルはどうなのか、どういうジャンルのものを作るのが得意なのか等、自分の現在の立ち位置を知り、目標を設定することで不平不満の毎日が変わっていきます。

時間の使い方も考えるようになります。

時間はどんな人にも平等であって、使い方は自由。

私の場合は、朝の通勤時間に気になる参考書を読んだり、スマホで参考になるデザインを探したりと時間の使い方を見直して、将来の目標に早くたどり着けるように行動しました。

誰もが必ずしも目標を達成できるわけではありませんが、コンスタントに自分を俯瞰で見ることで、その目標が達成可能かどうかという判断をしっかりとすることができます。

そして、達成が難しいと判断した場合は、新たな目標設定をすることができます。

これは私自身今でも行っていることなので、入社後とは言わず今からでも実践してみてください。

最後に

現在は、フリーランスのデザイナーが増えたことでデザイン単価も下がってきています。

広告代理店だけでなく制作プロダクションも経営的に厳しくなっているため、離職率の高い職種になり、ほぼ経験者が狭い業界をグルグル移動しているような状態です。つまりどこの会社もいろいろあるということです。

就職活動中の学生の皆さん、デザイナーを諦めますか?それとも目指し続けますか?

会社は、ホームページを見ても面接をしても何もわかりません。入社して初めてわかります。

一昔前は、最低でも一つの会社に3年は働くようにと言われていた時代がありましたが、今は世の中が自分にあった働き方を選択する流れになっているため、会社に無理に骨を埋めようとせず、学ぶ場、成長するための場として捉えたほうが良いでしょう。

ただし、試用期間中に辞めることは次の職場でマイナスになることは現在も変わりません。

しっかりとした目標をもってプロセスを踏みながら学んでいくことをオススメします。